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澄んだ空気を吸い込みながら自然の中を歩く登山はとても気持ちの良いものです。登山家のみが得られる最高贅沢。

しかし最高の景観を目の当たりにする前に、疲労と暑さでバテてしまい、下山を余儀なくされたりパーティの足を引っ張ってしまうこともあります。

慣れない環境の中を歩いていると疲労は知らない内にたまってきます。そこで、登山でばてないよう、スタミナを保つ工夫についてご説明します。

ハンガーノックを避けるための糖分補給

日常生活ではあまり起こらないことですが、長時間の運動を行っているとハンガーノックを引き起こします。ハンガーノックとは、極度の低血糖状態であり、車で言えばガス欠のようなものです。筋肉は自分の意志とは関係なく動きを止め、酷い場合は意識を失ってしまいます。そうなると、栄養を補給してもそれを吸収する力が残されていないので、中々元の状態には戻りません。

ハンガーノックを防ぎ、筋肉のバテを防ぐためには、糖分を早めに補給することが大切です。

ただ、はちみつやフルーツなどの単糖類(砂糖)を摂取しても体内のインスリンが血糖値を制御する力を過剰に働かせるため、低血糖状態からはなかなか抜け出せません。できれば、多糖類(グリコーゲン、でんぷん)である炭水化物を少しずつ体内に取り入れるのがおすすめです。

行動食には甘いチョコレートなどばかりではなく、炭水化物が摂取できる乾パンやカロリーメイトなどを組み合わせえていくのが、バテない栄養補給のコツです。

糖分や水分と一緒に摂取したいビタミンとカルシウム

水分、糖分の他に登山中の栄養補給で大切なものは、ビタミンとカルシウムです。特に、ビタミンB1の摂取は重要です。糖質が燃焼するときに大量のビタミンB1が消費されるため、ビタミンB1が不足すると糖質が不完全燃焼を起こして疲労物質がたまってしまうのです。ビタミンB1は玄米、豚肉、レバー、納豆、豆腐などに大量に含まれています。

ちなみに、インスタントラーメンには1日に必要な3割程度のビタミンB1、B2が添加されています。長期間山にいる場合は、積極的に摂取しましょう。また、登山中にかく大量の汗により水分だけでなく、塩分などのミネラルも失っていきます。したがって、汗をかいた時に、水だけ補給すると体液濃度が薄くなってミネラルバランスが崩れてしまいます。そこで、水分補給の際には、携帯しやすい塩味の小魚などをあわせて補給し、塩分やカルシウムを補給することをおすすめします。

脱水症状のリスクを伴う水分不足

山を歩いていると当然大量の汗をかきます。時には滝のように流れ落ちてくることもあるでしょう。体から水分が失われると血液循環が滞るため、たちまち体力が奪われてしまいます。血液の循環促進のためにも水分のこまめな補給は欠かせません。

日帰りで登山をする場合なら、夏場は2リットル、冬場は1リットル程の水かお茶を水筒に入れて携帯していきます。たかが喉の渇きと侮っていると、最悪の場合、脱水症状になってしまう危険があります。必ず、定期的に水を補給するのを忘れないでください。

バテないためのペース配分

登山を行う時は、ゆっくりと一定のペースで歩くことが大切です。そして、急勾配のところではよりゆっくりと、傾斜がゆるやかなところでは速めに歩くのがバテないコツです。

元気があるからと出だしで一気に飛ばすのではなく、普段よりペースを落として歩き、息切れをしない速さに調整しましょう。休憩は人により考えが違うので意見はあると思いますが、30分歩いて3分休む、つまり、じっくりと腰を据える休憩ではなくて、立ったまま小規模な休みを適度に挟んでいくと体を休めつつパフォーマンスを維持できます。

バテない登山は事前の計画が大切

ばてる要因の一つに、登山ザックに不必要な荷物を詰め込みすぎて、重量負荷でバテてしまう人も少なからずいます。必要かもしれないと思って、万事の備えは重要ですが、重くなりすぎて軽的な登山ができなくなるのは問題です。

登山行程にもよりますが、慣れないうちは山小屋などの設備を最大限に利用しながら、必要な荷物を減らして本当に持っていくべきものを判断できるようになりましょう。

山はいつもとは違う非日常空間です。平時と同じように過ごしていると思いのほか体力を奪われます。登山を楽しく行うためにも、栄養補給や歩くペースなどの計画をしっかりと立てましょう。