グループで登山をしていると、必ず相談されるのが”むくみ”の悩みです。
手足がむくんでパンパンにふくらみ、痛みこそないものの登山靴がきつくなったり、ザックが食い込んだりと体のあちこちが気になってしまうもの。
特に女性に多いのですが、女性特有の体質と登山という行動形態が、むくみを発症させているのです。
登山における、むくみの解決法を探っていきます。
目次
登山でのむくみの原因と予防法
まず「むくみ」というものを簡単に説明します。むくみは体内の水分コントロールが正常にできていない状態です。
人間の体の60%以上は水分でできています。この水分のうち体内を流れる血液やリンパ液として循環している水分が、正常に運搬されないと皮膚の下にたまってしまうのがむくんだ状態です。
登山でむくむ原因は何がある?
登山でおこるむくみには以下の原因があげられます
- 長時間トイレに行かないため水分が体内に滞留する
- 疲労と筋肉の硬化で、血液・リンパの循環不良になる
- ザック・登山靴やタイツによる過度の締め付けで、血流・リンパの流れが悪くなる
以上が代表的な登山でのむくみの原因です。
登山では水分をこまめに摂っていても、どうしても排尿のペースが遅くなります。行きたいときに行けず我慢してしまうケースもありますので、長時間の行程の際にはなるべく排尿するポイントを確保しましょう。
長時間の山歩きは、足の筋肉を相当に酷使します。歩きなれている人でも、ごつごつの岩を越えたり普段慣れない道を進むので、あまり使わない筋肉も刺激され筋肉は固くなります。筋肉は血管やリンパ管を流れる水分を送り出すポンプとしても働きもあるので、筋肉の硬化でむくみが発生します。
登山靴の靴ひもの締め付けすぎや、合わないサイズを履いている場合も要注意。締めすぎは血行を悪くし、むくみにつながります。
登山タイツは体にフィットして無いと逆効果
登山タイツは疲労軽減や筋肉痛を防ぐという機能的な装備です。適度に筋肉を締め上げるので、本来はむくみにくくしてくれる機能がありますが、これも合わないサイズを履いていたりすると、過度に締め付けることになり悪影響を及ぼすので、定期的にサイズは確認しましょう。
登山用タイツには筋肉や間接をサポートするタイプと、血行を促進するコンプレッションタイプがあります。むくみが気になる人は、コンプレッション系を履いてみるのもいいでしょう。
※なぜ女性に多く発症するのか?
むくみは女性の悩みともいわれています。女性特有の体質として、皮下脂肪が男性よりも多いです。皮下脂肪が多いと、身体で筋肉の占める部分が少ないので、水分の滞留が起きやすくなります。結果、皮下に水分が溜まりむくんでしまいます。また皮下脂肪が多いと身体の熱を放出しにくく冷えにくい反面、一旦体が冷えてしまうと温まりにくいんです。冷えによっても水分の放出が少なくなるので、むくみやすくなります。これは女性の体質によるものなので、あるていどのむくみは仕方ないのかもしれません。
登山中の”むくみ”の効果的な解消法
手足がむくんでしまったら、少しでも軽減するためにいくつか方法をご紹介します。
小屋に着いたら靴下を脱ぎ、足を開放する
山小屋に着いたら、靴を脱ぎますが靴下も忘れずに脱いでしまいましょう。靴下は汗を吸って硬くなっているので思いのほか皮膚に食い込んでいます。ゆったりめの靴下を持参し、履き替えるだけでもかなり楽になります。
次に、いわゆるリンパマッサージです。筋肉の筋や血管の流れを意識しながら、親指を使ってゆっくりとふくらはぎを押していきます。すぐには効果はでませんが何度も繰り返し行うことで効果は高まります。
顔や腕がむくんでしまう場合は、ザックを背負うことによる肩の筋肉の疲労と締め付けが原因です。まずは腰でサポートできるようにザックのベルトの位置を見直し、体に密着して背負えるように調整します。一人では難しいので、近くの人にチェックしてもらうと確実です。
顔のむくみ改善には、肩から首筋にかけて親指で押しながらマッサージしていきます。腕の場合も、筋肉の筋に沿ってゆっくりと押していくと効果的です。
むくみにくい体質を作る食事を日頃から摂る
日頃からむくみやすいという人は、登山ではより”むくみ”に悩まされる可能性が高まります。
むくみにくい体質を作れるような食事で、代謝のバランスを整えておくことも重要です。
まずは利尿作用を高める栄養素である、「カリウム」を多く含む食べ物を摂取するといいです。
野菜(じゃがいも・さつまいも等イモ類、きゅうりなどのウリ類、きのこ類、豆類)や果物(バナナ、りんご、キウイ)、特に海草類はカリウム以外のミネラルも豊富で、水分代謝をスムーズにする働きがあるので積極的に摂りましょう。たんぱく質やミネラルのバランスを考えた食事にすると、むくみにくくなります。
※塩分の取りすぎは、むくみやすい体になってしまいます。塩分濃度が高くなると、体は水分を体内に溜め込もうとします。適度な塩分は必要ですが、摂り過ぎは禁物です。
どうしても”むくみ”の酷いうちの嫁さんは、むくみ対策の保険としてサプリで予防したりしています。
高所登山ではどうしてもむくみが出るそうですが、日常の生活ではパンパンになることは無くなったと言っているので効果はあるようです。
日頃からむくみやすい体質を改善したいという方は、こういったサプリを飲んでみるのもいいかもしれませんね。
登山中の行動食でも”むくみ対策
登山中は疲労回復効果もある、クエン酸を多く含む行動食も取り入れていくといいでしょう。
梅干しやレモンなどの柑橘系はクエン酸が豊富です。梅干しならお菓子感覚で食べられるものも売っているので、携帯に便利ですね。他には酢の物も効果的で、私は酢昆布とかをかじりながら登っていますよ。
慢性的なむくみは病院で診察を受けること!
最後に、むくみは内臓疾患のサインである場合もあります。2,3日で収まるようなむくみであれば、筋力低下や疲れなどが原因の場合が多いですが、長期間むくむようでしたら医療機関に相談しましょう。特に高齢の方の場合は疾患の可能性がゼロではないので、健康管理には気をつけましょう。