登山中はさまざまな怪我をする可能性があります。その中でも特に多いのが切り傷です。出血が多い場合は、急いで応急処置や止血を行う必要があります。

捻挫や骨折と比べると自由に動けることが多いので、軽度の場合は手当をしない人もいるでしょう。しかし放置していると重症化する恐れがあります。

そこで今回は、登山中の切り傷について紹介し、応急処置や止血の方法も解説します。

登山で注意すべき切り傷のリスク

登山中は切り傷を負う恐れのあるシチュエーションが豊富です。たとえば歩行中にバランスを崩した際、転倒して切ってしまうことがあります。

ぬかるんだ地面や不安定な岩場を歩くときに、転んだ経験がある人は多いでしょう。咄嗟についた手を木片で切ったり、倒れた拍子に足を石で切ったりすることは珍しくありません。

食事やテントの準備などで切ってしまうこともよくあります。刃物やピッケルなどの道具を使用するときは気を付けなければなりません。

登山中にできる切り傷の応急処置

切り傷を負ったら、傷口をすぐに水で洗い流すことが大切です。ただし川の水を使ってはいけません。細菌は川の水の中にたくさん存在するからです。澄んだ清流であっても使用しない方が良いでしょう。

最寄りの休憩場所や山小屋に移動して、水道水を使用しましょう。近くに水道が見当たらない場合は、飲料用に持参した水で代用する手段もあります。複数パーティで行動するときは、衛生用に使える水を用意しておくといいです。

洗い終わったら、傷を消毒します。消毒液をかけて出てくる泡を清潔なガーゼなどで拭い取ります。消毒後は包帯か絆創膏で、傷口を覆うといいでしょう。

参照:日本赤十字社 裂傷の止血と対策

出血が多い場合

傷口の出血量が多い場合は、止血しなければなりません。清潔なガーゼなどを傷口に置いて、その上から手を使って圧迫します。

圧迫するのは、傷口に繋がる心臓側の動脈です。傷口の位置が心臓より高くなるように、姿勢を調整してください。傷口に異物が見られる場合は、止血を阻害することがあるので、ピンセットなどで取り除きましょう。

多くの場合、10分ほど圧迫し続ければ止血できます。止血を確認したら、ガーゼの上から包帯を強く巻いておきます。もし出血が止まらない場合は、動脈を圧迫すると血流を弱められます。

切り傷は必ず消毒しておく

切り傷は、傷が浅い場合でも油断してはいけません。傷口に細菌が入った可能性もあるからです。山の土や岩、木などの自然物には、多数の細菌が住みついています。これらの細菌が傷口に付着したまま放置していると、炎症が起こって化膿してしまいます。

さらに細菌が体内に入り込むと、繁殖してさまざまな症状を引き起こすので注意が必要です。これらは感染症と呼ばれ、発熱や腫れなどのように重症化することも珍しくありません。

応急処置や止血の重要性

症状が酷い場合は病院で治療を受ける必要がありますが、応急処置や止血の良し悪しによって回復速度は大きく変わります。切り傷を負っても焦らずに、今回紹介した方法で応急処置や止血を適切に行ってください。

また、一番は切り傷などを負わないよう安全対策をすること。登山中はグローブなどをはめ、岩肌から手を守ります。夏であっても基本は長袖を着用し、尖った樹木などの障害から肌を守るようにしましょう。