過呼吸(過換気症候群)は、急に息が荒くなって、ひどくなると意識が朦朧としてうごけなくなることもある症状。

ストレスなどの精神的なものや、疲れによるものなど個人差はありますが、スポーツ中に発症することも多い発作症状。長時間体力を消耗する登山中でも起こりやすいもので、登山で過呼吸を引き起こした時には適切な対処法が必要になります。

過呼吸を起こすと急に息が吸えない「感覚」になります。吸ってるつもりでも、肺に穴が開いてるかの如く吸ってる感覚がなくなります。

身体に何か重大な異常が起きているのではないか?と思われがちですが、過呼吸の正体は身体的な異常ではなく、精神的なストレスによる自律神経系の異常から発生するものなのです。死亡や意識不明にまで陥るものではなく、息が吸えない感覚になっているだけだということも覚えておきましょう。

登山中に過呼吸症候群になった時の対処法

Sporty woman having heart attack - Angina Pectoris, Myocardial Infarction

登山中に、自分もしくは同行者が過呼吸になった場合どうするべきか。

まず重要なのは、落ち着かせて呼吸を整え、焦らずに待つということを意識します。

息が吸えない感覚に襲われているのでとても苦しそうに見える為、すぐに何とかしてあげたいと思うでしょう。しかし、身体的な異常ではないので基本的に30分ほど待てば自然に治まります。

過呼吸は心理的なストレスにより発症している場合も多いです。急な体調変化で、看病する側が不安になってしまうと感情が移るもの。同行者をケアする場合には必要以上に騒がず、不安な思いにさせないように落ち着いて看病にあたること。

過呼吸で重篤な症状に陥ることはないため、時間とともに回復するのを待ちます。一時間以上過呼吸が続くことはほとんどないので、慌てず騒がずにそばにいながら治まるのを待ちましょう。

たかはしクリニック過呼吸(過換気症候群)の対処より

応急手当でやってはいけないこと

過呼吸は体内の二酸化炭素濃度が低下することで引き起こされますが、意図的に二酸化炭素を取り入れようとするのはNG

袋の中にはいた息を吸う(ペーパーバッグ)は現在は推奨されていません。ゆっくり息を吸い込んだ後に、口をすぼめてじわじわと息を吐きだして症状を落ち着かせるようにします。

過呼吸でペーパーバックは推奨しない「日本医師会」

高山病と過呼吸の違いとは?

Trekker resting in height mountain  India

よくある間違いに、高山病の症状と、過呼吸の症状を勘違いしてしまうことです。

高山病は、空気の薄い山において、酸素の吸収がうまくいかずに血中酸素濃度が低下する病気。血液中の酸素が少なくなるため、目まいがして頭が痛くなったり、手足が痺れるなどの症状を引き起こします。鼻からゆっくりと深く息を吸い、肺に酸素を行きわたらせることを意識しながらゆっくりと吐き出します。携帯の酸素ボンベがある場合には、呼吸の時に併用してあげると楽になりやすいです。

主に標高が高くなると発症していくため、息そのものの辛さより吐き気や頭痛を伴うのが特徴。呼吸そのものとは症状が連動しない点が過呼吸と異なります。

過呼吸では、必要以上に呼吸が荒くなり、二酸化炭素が不足している状態。酸素自体は足りていますから、「携帯用酸素ボンベ」をあてがっても、過呼吸では意味がありません。深くなくていいので、ゆっくり息をしてゆっくりと吐き出していきながら、必要な酸素と二酸化炭素のバランスを取り戻すように意識します。

呼吸が異常に早いのに、息を吸っているような感覚がしないというような場合は過呼吸を疑います。

回復後の行動において気を付けること

一旦過呼吸になると血液中の二酸化炭素濃度が低下していきます。過呼吸で二酸化炭素濃度が低下すると手足のしびれやけいれんといった様々な症状を引き起こす恐れがあるので、なるべくゆっくりと浅く呼吸するように心がけましょう。

とはいえ、過呼吸を起こしている時は呼吸を意識するのが難しい為、出来る範囲で良いのでゆっくりと浅く呼吸することが大切です。急いで呼吸しても二酸化炭素濃度が上がりにくくなるだけなので、呼吸法で呼吸を整えることで過呼吸が早く治まるでしょう。

少しペースを落として様子を見ながら、必要であれば無理をせずに下山をするという決断も必要です。

山小屋に医療機関などが併設されている場所があれば、念のため診断を受けておけば心の安定にもなり、再び過呼吸が併発されるのを防止できる可能性もあります。

過呼吸を止めたい場合は薬を服用するのが効果的?

過呼吸になりやすい人は、あらかじめ医師に薬を処方してもらうということもできます。

過呼吸を止めたい場合、どうしてもというのであれば抗不安薬を服用するのが一般的。身体の異常ではなく精神的なストレスが原因で起こるので、薬を服用して不安を和らげるようにすれば過呼吸が治まるのが早くなるでしょう。

しかし、登山の最中にいつ起きるかは予測が付きません。過呼吸が起きている時に薬を飲むのは難しいので過呼吸が起こりそうという時に服用すると良いですが、誤嚥する恐れもあるので無理に服用するのはやめた方が良いかもしれません。また、過呼吸は自然に治まるものなので、どうしてもという時以外は薬を飲む必要性はあまりないでしょう。

登山中に過呼吸症候群になったときのまとめ

誰かが過呼吸になった時、適切な呼吸法や対処法を行うことが重要ですが、同時に周囲の人の接し方も大切です。

過呼吸は不安や緊張などが原因でなるので、周囲の人たちが一緒になって慌てていると本人がさらに不安に感じてしまいます。発作を和らげる為にも、慌てずに本人にとって安心出来る状況を作りましょう。また、話しかけ続けることも重要です。呼吸が苦しい時に話すのは難しいですが、話している間は呼吸が止まっている状態なので二酸化炭素濃度を上げることに繋がります。どんどん話しかけて患者が少しでも話すようにしてあげましょう。