登山において、特に1000メートルほどの低い山では「虫」が大量に生息しています。

ただ歩いてるだけでもブンブン飛んでまとわりついて来たり、中には蚊やアブなどの吸血昆虫もいるため苦手な人には懸念材料の一つともなります。

防虫用の商品はたくさんあるのですが、中でも近年注目を浴びているスコーロンという防虫素材を使った衣類を取り上げてみました。一般的な防虫スプレーなどとの違いや、登山においての利便性などについてまとめていきます。

「スコーロン」とはどのようなものか?

スコーロンは、2007年に開発された生地で、生地そのものに虫よけ成分を分子レベルで織り込んである防虫衣類。登山などのアウトドアでの虫よけに活用されています。

アース製薬が開発した防虫薬を、繊維製品を作っている帝人が、ナノレベルで繊維に織り込んで製造しています。

最大の特徴が、80回くらいまでの洗濯をしても虫よけの効果が落ちない素材ということ。

防虫の生地は今までにもありましたが、表面に薬剤を使っているために、一回洗濯をすると防虫効果は失われていました。それが数十回のレベルで洗濯を繰り返しても効果が持続するという点で、スコーロンに関心が集まっているのです。

スコーロンは虫をどのように防ぐのか

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スコーロンは、虫をにおいで撃退したりして、虫が最初から寄り付かないというタイプの虫よけ生地ではありません。虫が寄ってきて止まるけれども、そのあと嫌がって刺さないまま離れていくというものです。

従来の防虫の仕組みは、虫の嫌がる匂いなどを発して避けたり、虫がとまった時に殺虫したりするという考え方でしたが、それよりも格段に緩やかなレベルでの防虫です。

蚊・ブヨ「おっ、うまそうな血の臭いがする!吸ったろ」と飛んできても、スコーロンの服に止まった瞬間「何じゃコレ!何か生理的に嫌な危機感を感じる。逃げよう。ブ~ン・・・」というような感じ。

人体への安全性は大丈夫なのか?

スコーロンを着用するにあたり気になるのが、肌に密着して着続けた場合の安全性です。虫が嫌がって逃げるほどの成分ですから、浸透してかぶれたり肌荒れにならないか?という不安もあります。

開発元のアース製薬の資料によれば、スコーロンの配合防虫忌避剤は、哺乳類の体内の摂り込まれると分解されて体外へ排出される性質を持っており、蓄積して影響を及ぼす心配のないものであるとされています。

取り扱いとしては、虫よけスプレーと同じような感覚であり、むしろスプレーのように肌に残らず濃度も一定であるために安全性は高いということです。

防虫成分の揮発性はなく、呼気で薬剤を吸い込んでしまわないメリットもあるといえます。成分の沸点は360℃であるということから常温で機能が失われることもありません。

※念のため虫よけスプレーでアレルギー反応などが起きている人は、かかりつけの皮膚科への相談のもと着用していくようにしましょう。

開発元:帝人フロンティアとアース製薬の安全性試験参考

低い森林部を歩く登山では、虫の発生に悩まされがちなので、スコーロンの生地の服は虫刺されを防ぐための選択肢の一つになりえます。

スコーロンの生地の服は登山に向いているのか

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スコーロンの生地は、夏のドライ素材のように目が粗く通気性がよいのが特徴です。登山では、汗をかきますし、かいた汗が冷えて体に危険を及ぼす場合もあるので、着ているものの通気性がよいということは大事なこと。

かいた汗を素早く外へ逃がす効果があり、虫よけ効果のあるスコーロン素材の服は、春から秋にかけての登山に向いているといえます。

UVカットの効果もあるため、夏山登山の日焼け止め対策と防虫を兼ねて、長袖のアウターとして着用している人が見られます。

まとわりつく羽虫までは防げない

スコーロンはあくまでも止まった虫が衣服の素材を嫌がり離れていくというものです。顔の周りに飛んできてまとわりつく羽虫や、ハエなどの虫に対しては有効とは言えない点に注意。

小さな蚊や、ブヨなどが多く生息してる山域において、血を吸われて痒くなるのを防ぐことに対しては効果が期待できるものです。虫そのものが苦手な人には、ふいに飛びついてくる虫まで防げない点はあきらめるしかありません。

スズメバチとか、アブといった大型の昆虫はさすがに防げないということなので過信は禁物です。

スコーロンの生地を使った服はどこで買える?

スコーロンの生地を使った製品は、すでに売り出されています。登山などのアウトドア用品を扱う企業で、シャツなどに作られて商品化されています。

有名なメーカーですと、foxfireがいち早くラインナップを拡張しており、専門の特設サイトも用意しています。

登山で実際に着ている人もいて、虫がシャツにとまっても刺さずに逃げていくことから、虫よけ効果のある優れたものとして評価されているのです。

3000メートルといった高い山の森林限界を超えた地域では、虫に悩むことはありませんが、1000メートルくらいまでの山だと虫刺されの被害が出るためスコーロンの服は有効です。

楽天市場アマゾンなどでも普通に売られており、特別な場所でしか買えないというものではありません。登山に限らず、釣りやキャンプなどで虫に刺されるのが嫌だという人は、一度チェックしておくべき価値はあると思います。荷物も減らせるし、機能的な登山ウェアとしての実力を持っています。

スコーロンを実際に着てみた感想

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フォックスファイアブランドのスコーロン生地の中でも、ドライ素材のロングシャツと、フード付きのパーカーを購入しましたので簡単にインプレッション。

想像以上に薄手で、通気性の良い生地はまさに春から秋用の防虫対策ウェアといった感じ。汗も発散しやすく、夏用のロングシャツとして登山以外でも色々使い道はありそうです。

パーカーも薄手の素材で、防風性能や保温性能はあまり期待できません。フードが付いていると首や耳を虫からガードできるため、とにかく虫に刺されたくない人向きともいえるかなと。

スコーロンパーカー
フードも被れば、上半身はほぼ虫からガードできます

防虫ウェアってことで、キンチョール的な臭いを想像しましたが、臭いはいたって普通の服の臭いと変わりません。あくまで服に止まった虫が逃げていく「接触防虫」という仕組みなので、普通に着ている限りには全く違和感は感じないものでした。

自分は虫に刺されやすいって自覚がある人には、登山以外でもそれなりに役立ってくれます。

  • お庭の手入れ・ガーデニング時の防虫
  • キャンプやバーベキューでの防虫
  • 登山や釣りでの虫の猛攻を防ぐ

価格は決して安いものではなく、無理に買わないといけないってものではないと思いますが、使えるシチュエーションは色々ありますね。

スコーロンの生地の服は、蚊やダニなどの虫よけ効果があり、しかも通気性などの点でも優れていて登山服に向いています。洗濯を数十回してもその効果が持続するため、繰り返して使える点でも期待できる部分です。

人体への安全性についても検証されており、もしも薬の部分が人体に吸収されても短期間で分解され排出されることが分かっています。

夏場の登山のアウターとしての機能に注目が集まっている安全素材スコーロンは、今後とも様々な製品への応用が考えられているということ。虫嫌いで登山で嫌な思いしてる人は注目しておくべき素材ですよ。