近年猛威をふるっているという「マダニ」。
野山の草むらに生息し、蚊と同じように動物の発する二酸化炭素を感知して動物に飛びつく。血液を吸う吸血昆虫であり、その際に注入される様々な分泌液や細菌が、感染症やアレルギー症状を引き起こすのです。
もともとマダニをはじめとするダニに対する注意は、登山者の間でも注視されていたが、近年ダニの感染症で死亡したりする報告が相次いでおり、特に警戒が必要となってきています。
このマダニの正しい予防法や、食いつかれた
際の処置法を知らないと思わぬ事態に繋がるので、マダニの対処法について紹介します。
目次
マダニの変わった吸血法を知る
マダニは人間や動物に取り付いて血を吸うとき、変わった吸血方法を用いる。
蚊のように管を刺して吸血するのではなく、まずは鋭いあごでかじり、皮膚を切り裂く。そこからあふれ出た血液を吸うのだ。さらにギザギザの歯を食い込ませることで頭部を固定し、吸血対象にがっちりと噛みこむことで振り落とされないようにしている。
長時間食らい付くしぶとさに注意!
さらにマダニの吸血は非常に長い時間かけて大量の血を吸うことで知られる。放っておけば1週間近くも食らいついたまま離れない、恐ろしいしぶとさである。
以前シカやヤギに問いついたマダニを見たことあるが、吸った血でパンパンに膨れ上がり、まるで大粒の梅干くらいの大きさにまで膨れていて衝撃を受けたことがある。
私たちの家にいるダニとは種類が違い、背中が硬い甲虫のようであることも特徴。家ダニは柔らかく、簡単につぶれるような体をしている。
マダニを防ぐ方法と、やってはいけない処置
マダニを防ぐためには、一番は生息地の草むらに不用意に入らないことが一番。
未開の草薮やブッシュと呼ばれる草地を掻き分けてすすむ道には注意が必要である。肌の露出を防ぎ、長袖・長ズボンを徹底することである。マダニが多く生息するといわれている山では特に注意を払う。
着る服にも注意する。なるべく薄い緑や黄色など明るい色を着用することで、服についたダニを早期発見できる。マダニは黒・濃い茶色をしているので分かりやすい。
マダ二を防ぐための防虫剤
マダニを防ぐために、防虫剤も有効である。「ディート」と呼ばれる防虫成分が入ったものを使う。
有名な防虫スプレーであればまずこのディート成分が含まれており、商品によって濃度の違いがある。
ディートについての詳細はこちらを参照。使用法に注意して、適正な量を使って対処する。
マダニにかまれてしまったら・・・無理に引き剥がさない!!
マダニは先述したとおり、はさみの様なあごでしっかりと肉に食らいつき、長時間にわたって血を吸い続ける。
ちょっとやそっと触ったくらいではとれない上に、見た目も気分悪いので早く引き剥がしたい衝動にかられるが、絶対に無理に引き剥がしてはいけません!!
無理に引き剥がすと、食い込んだあごや、頭の部分だけが残ってしまい、感染症の危険性が高まる上に傷口が化膿しやすくなる。
タバコの火や、ライターであぶったり、アルコールを流してマダニが嫌がって口を離すのを待つという方法をする人もいるが、もしダニが口を離す前にダニが死んでしまえば口は食い込んだまま。
小さな口はかなり深くまで食い込んでいることもあるので、医療機関を受診し最悪は患部を少し切開して完全に口を取り除く必要もあります。
マダ二を確認したら皮膚科のある医療機関を受診する
マダニが食いついているのを見つけたら、必ず医療機関に受診します。
行った場所・時間(感染症によっては食いついている時間でリスクが変わるものもある)マダニに咬まれた可能性があることをメモしておいて、正確に医師に伝えることで迅速に治療をうけられる。
切開して治療とか、そんなに大げさなものなのかと気遅れするが、感染症の可能性が多いので、疑わしきは確実に医療機関を受診することが一番です。
マダニの恐ろしさは、引き起こす感染症の多さ。マダニの感染症の詳しくはこちら参照
決して安易に考えないで、対策は十分にしておきましょう。
よく似た虫、ツツガムシにも要注意
マダニと同じような生息域を持つ害虫に、ツツガムシというのがいます。
赤色の非常に小さな虫で、生息数が多い場所は看板も建ってたりするので、ダニ予防と同等の対策が必要。姿かたちはマダニそっくりですが、マダニほど大きくなく非常に小さいのでわかりずらいです。
このツツガムシは、ツツガムシリケッチアという細菌を媒介し、ツツガムシ病を引き起こす。
この病気は日本紅斑熱と症状は酷似しており、5日から10日以上の潜伏期間の後に、全身に数ミリの紅い腫れができ、頭痛や発熱・倦怠感、リンパの腫れができ、重篤になると多臓器不全で死亡例もある。
ダニと違い、刺されたことに気づかずに潜伏期間を過ごし、発症後慌ててしまう例もあるので注意が必要。治療は、早期に適切な投薬をしないと効果が出ないといわれており、医師がいかに迅速に正確な病状判断をできるかというのがカギとなる。
そのために、行った場所・時間や発症までの経緯を詳しくまとめておき、医師に伝えることが非常に重要になるので憶えておきたいです。