登山中の打撲・ねんざ・骨折の応急基本原則はRICE(ライス)

登山でよく起こるけがは、打撲やねんざ、骨折です。そしてその応急処置の心得としてRICE(ライス)という言葉があります。けがは避けるに越したことはないですが、もしもの時のために、どのような対処方法を取れば良いかを覚えておきましょう。

RICE(ライス)は応急処置の頭文字

RICE(ライス)とは、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の4つの言葉の頭文字を取ったものです。打撲やねんざ、骨折が起きた場合にそのまま放置しておくと、患部が熱を持って腫れて痛み、治りも遅くなります。それを防ぐための対処方法がRICEです。

けがをすると、体はその場所に血液を送り込んで、早く治そうとします。傷んでいる場所は危険な状態になっているわけですから、それを自分自身に知らせるために、痛みを感じる物質も分泌します。これは体内の自然な反応でもあるのですが、痛みや熱が強いとストレスになり、特に登山のような病院にたどりつくまでに時間の掛かる場合は、パニックの元にもなりかねないのです。

けがをした場所を固定させてから冷やそう

RICEに従った処置の方法では、まずけがをしたところを固定するなどして安定させます。テーピングや副木を当てるといった方法で、患部を動かさないようにして安静にしましょう。

次に、冷やすことが大切になります。冷やすことで血管が収縮し、けがの場所に流れ込む血液の量が減って、痛みや炎症を発生させる物質が少なくなるためです。また、内出血を抑える効果もあります。

患部へ血液が集中して悪化するのを防ぐ

圧迫するのにも、冷やすことと同じような効き目があります。ただし適度な加減が必要で、やり過ぎは血液の循環を妨げてしまい良くありません。包帯などで締め付けた後、皮膚が白っぽくなったり指先などにしびれが出たりするのは圧迫のし過ぎです。定期的に締め付けたあとの状態を確認し、必要であれば一度ゆるめて、やり直したほうが良いでしょう。

挙上とは、患部を心臓より高くするということです。そうすれば、やはり患部への血液の集中が抑えられます。足を骨折した場合は、横になって足の下に荷物を入れるなどの方法で対処します。

すべてが行えなくても効果はある

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RICEは、どれもしっかりできれば理想的ですが、登山中はすべての方法が取れるとは限りません。患部を冷やそうにも水場があるところは限られていますし、けがの場所によっては心臓より上にしたままでは移動もしにくくなってしまいます。

しかしRICEの考え方を理解して患部を安静にし、血液を集中させないようにできれば、部分的にしか対応できなくてもけがの予後はずっと良いものになります。下山中の休憩時間には必ず挙上を行うなど、できる範囲で対応して、けがの悪化を防ぎましょう。

応急処置RICEを有効活用しよう

RICEは登山で、ねんざや骨折などの炎症や痛みが強いけがをした時に、その苦痛を減らして治りを早めるのに有効な応急処置の方法です。登山中でもできる範囲で行って、少しでもけがの不快感を軽くし、早く回復できるようにしましょう。